Torso



                                 /記憶−sean〜幕間




 それは単調だったが、ひどく飽きのこない作業だった。

 土と泥を払い、折れた四肢を伸ばし、こぼれた臓器を詰め込む。

 単調な作業にしばし没頭する。

 朽ち果てた幾つもの十字架に囲まれ。

 屍体の山に埋もれながら、俺はそれを続ける。

 すべて同じにしたかった。

 死んだもの。

 もう生きていないもの。

 その二つの分類に分けることが出来るなら。

 例外が有り得ること自体、許せなかった。

 時間を忘れ、自分のことすら忘れ―――目的すら忘れた頃、ようやくその作業が終わる。

 百を超える死体。

 その全てを装飾して、俺はその場で空を仰ぐ。

 濁った空はどうしようもなく、昏くて、吐き気がするらいこの世界に相応しい。

 ふと、傍らに落ちた拳銃に気がつく。

 鈍く光る銀の銃身。握りに刻まれた、持ち主のものらしき名前。

「ギルィ……ストーク」

 上手く動かない喉からソレが漏れる。

 震える古傷だらけの身体。

 罅割れた声が自分の物だと気付いたのは、ずいぶんと後になってからだった。

 

 









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